今年のフィエスタは、私自身がこれまでで最も楽しめたイベントであったことをまずはじめに言っておきたいと思います。
年に1度のフィエスタ、ここで年に1度しか会わない旧知のオーナーもたくさんいます。また、今年は事前に「鈴鹿で会いましょう」と示し合わせていた仲間も多くいました。フィエスタというイベントに全国のNSXファンが一堂に会する、何と素晴らしいことでしょう。規定のプログラムだけでなく、パーティー後のみなさんとの談義やカラオケ大会も、とても楽しいものでした。永年NSXに乗られていて、今年初めて参加したオーナーの方から、「こんなに楽しいんだったら、もっと早く参加してれば良かった」との声も聞きました。「損をしましたね」
また、多くの同伴者の方とも話す機会がありましたが、口々に「すごい」とこのNSXのためのイベントを賞賛されています。恐らく想像を遥かに超えた規模・内容に驚きとともに感動されてのことだと思います。加えて驚いたことに、何人かの同伴者の方は、その後わかったのですが、フィエスタが終了して帰宅後、NSXの購入を検討しはじめたと言うことです。何でも、フィエスタに参加してこのイベントの素晴らしさを実感し、自分自身もオーナーになって参加したいということのようです。これほどに魅力ある車であり、イベントなのですね。ディナーパーティーの壇上に、知り合いのオーナーのふたりが呼びあげられ、上原さんから「100,000Km走行」のお祝いと盾の贈呈がありました。こんなにも、この車を愛し続けている人がいることを実感し、この人たちはこれからも乗りつづけるであろうと確信しました。こうしたオーナーは今後も続々誕生するでしょう。何か、うれしかったです。
他のオーナーの車を見ることも、フィエスタのもうひとつの楽しみです。フィエスタには「有名オーナー」や「有名車」がいます。「今年あの人は、どんな車でやって来るんだろう」。来ました、来ました。オリジナルも秀逸なデザインなのですが、各オーナーはそれをスポイルすることなく手を加えて登場し、参加者の熱い視線を浴びるのです。この日のために1年間準備してきたのです。中でも、今年5月にラグナ・セカで行われたNSXPOに参加したオーナーが、現地で見つけて惚れこみ発注したボディーキットを装着した2台のNSXは圧巻でした。発注したオーナーの話を別のオーナーが知り、追加でもう1セット追加発注したのです。そのため、納期に時間を要し、うち1台は結局時間切れで塗装前の状態で登場。その色も相俟って、凄みがありました。でも、来年はバッチリ仕上げての登場となるので楽しみがまたひとつ増えました。
今回はいつもと同じ2日間だったのですが、期間中とても忙しく、短く感じたの私だけでしょうか。いつも感激するのはプロドライバーの同乗走行です。F1のコースとして世界的に有名な鈴鹿のフルコースをプロドライバーが運転するNSXの助手席に乗れるのですから、毎回大きな楽しみになっています。ジムカーナを含め、プロのドライビングを目の当たりにすることは日々乗っているものにとっても新鮮です。
フィエスタに先駆けて行われたクラブミーティングについては、2月のもてぎに続いての開催でした。お世話いただいたクラブWESTのメンバーの方や窓口のベルノ店の方々には大変お世話になりました。今後はより多くの意見を取り入れて、オーナーの手によるより良いイベントに成長すればと楽しみにしております。
交通教育センターに試乗車が用意されていた、今秋に発表されたモデルについてですが、「何だ、何も変わってないじゃないか」と思われた方も多いのではないでしょうか。私が最も驚いたのはLEV化でした。以前より自動車メーカーに課せられた課題は、省燃費とリサイクル、それに排ガス対策だと思ってきました。燃費についてはかなり技術が進み、もうこれ以上は望めないところまで来ているのか、各メーカーも燃費の良さを強調するPRをしませんね。ほぼ達成できたという証なのでしょうか。燃費が悪いということは、経費がかかるということ以上に、省資源という観点からも問題ですね。これは罪です。また、リサイクルについてはほぼ100%達成できているようでする。一方、NOx、CO2の削減に代表される排出ガス規制については、各メーカーがしのぎを削っているところでしょう。私は今回のマイナーチェンジの最大の目玉はLEV化だと思っています。多くの人は、いわゆる「走り」や「デザイン」に対するモディファイを期待しておられたのだと思います。地味な改良ではありますが、フィエスタで上原さん自身がコメントされていましたが、NSXのようなスポーツカーが持つ高性能を維持しながらLEV化することは、素人の私でもその難しさが理解できます。「これこそ技術」だと思います。
詳しい技術的なことはわかりませんが、ホンダからの資料などによるとやはり触媒の技術も向上した結果、今日のクリーンなガスが得られたのだとも思います。ある技術系の方のお話では、今日使われている触媒は、触媒なしの状態と比べて確か500分の1以下の数値にまで改善できているそうです。あまりヒステリックに地球環境の保全を訴える気はありませんが、自分の愛する車が、メーカーの技術を駆使して排ガスをきれいにするシステムを搭載するに至った進化をうれしく思います。「デザインが古い」などと見た目のことばかりにとらわれず、外からはわからないけれどものすごい技術を投入して、将来のことをキチンと考えているこの車のオーナーは、誇りを持って乗りたいものです。
鈴鹿では上原さんも次期NSXがどうなるかについては、やはり口にされませんでしたが、はっきり「作り続けます」と言われたので、私はこれだけでうれしくなってしまいました。みなさんは、どんな風に感じられましたか?
来年はNSX誕生10周年です。フィエスタはもてぎでの開催と発表されましたが、誕生の地「高根沢工場」で盛大にお祝いしたいと思っています。最後にこの素晴らしい車とフィエスタを提供してくれたホンダに感謝します。では、2000年10月に、もてぎでお会いしましょう。
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